00065 水辺梅花という心を 平経章朝臣

巻一・春上

【歌】

すゑ結ぶ人の手さへや匂ふらむ梅の下ゆく水の流れは

すゑむすぶひとのてさへやにほふらむうめのしたゆくみずのながれは

 

【通釈】

下流で水をすくう手さえもが匂うのだろうか

梅の下をいく水の流れは

 

 

【作者】

平経章

 

 

【感想・その他】

「すゑ」先端。末端。ここでは水の流れの末端=下流

「むすぶ」ひもなどをつないで結び目をつくる。手を絡ませて形を作る。ここでは手を丸めて水をすくうこと。

「や」係助詞。疑問や問いかけ、反語を表す。受けは連体形

「らむ」完了の助動詞「り」の未然形「ら」+推量の助動詞「む」の連体形「む」

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