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00005 寛和二年花山院の歌合によみ侍りける 大中臣能宣朝臣

巻一・春上

【歌】

春の来る道のしるべはみ吉野の山にたなびく霞なりけり

はるのくるみちのしるへはみよしののやまにたなひくかすみなりけり

 

 

【通釈】

春がやって来る道しるべは吉野の山にたなびている霞なんだよな

 

【作者】

大中臣能宣

三十六歌仙の一人

梨壺の五人の一人で後選和歌集の選者の一人

 

【感想・その他】

「春の来る」で切れていると考えるなら春が来たということになるけれど「の」は基本的には体現を結びつける格助詞なので、「来る」は「道しるべ」につながる連体形と考えて「の」が「春」と「来る道しるべ」を結びつけていると考えるのが自然かなと思います。

「み吉野」の「み」は「吉野」の美称。「吉野」は大和の国南部の地域を指して古来から信仰の対象であり歴代天皇が離宮を営んだ。また天武天皇が挙兵をした場所でもある。万葉集でも多く読まれている。

万葉集や古今集の頃は「吉野」=「雪」のイメージだが後拾遺の時代になると「吉野」=「桜」のイメージになってくる

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