【歌】
たづのすむ澤べの芦の下根とけ汀萌出づる春はきにけり
たつのすむさはへのあしのしたねとけみきはもえいつるはるはきにけり
【通釈】
鶴が住んでいる澤辺に生えている葦の根元の雪が溶けて汀が芽吹く春が来たんだな
【作者】
大中臣能宣
三十六歌仙の一人
梨壺の五人の一人で後選和歌集の選者の一人
【感想・その他】
天暦(てんりゃく)三年は949年。
この時期の太政大臣は藤原忠平。天皇は村上天皇。摂政を置かず天皇が親政をしたということで村上天皇の治世が後世理想化されて天暦の治と呼ばれている。
屏風には鶴が描かれていてそれに着想を得て詠んだのだろうと思います。
「下根とけ」は木々の根の周りだけ雪が溶けだしている様でまさに春が来ようとしている風景です。春先に木の根の周りの水がその周辺より少し暖かくなって雪が溶けだす様です。
(だから今の3月位になってようやく表れてくるから旧暦でも1月だとまだ早いかなと言う気はします。でも2月も中頃にはそういう風景も現れてくるでしょうか)