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00010 一条院の御時殿上人春の歌とて乞い侍りければよめる 紫式部

巻一・春上

【歌】

み吉野は春のけしきにかすめども結ぼほれたる雪の下草

みよしのははるのけしきにかすめともむすほほれたるゆきのしたくさ

 

 

【通釈】

吉野は春の景色に霞んでいるけれどまだ固く凍ったまま雪の下に覆われている草だこと

 

 

【作者】

紫式部

源氏物語の作者

 

 

【感想・その他】

「むすぼほる」は固く結んでほどけない状態を表す言葉でそこから気にかかって気が晴れないといった意味の言葉として使われた。

ここでは雪で固く凍り付いたイメージで解釈した。

この歌は紫式部集の五十九番目に所収され詞書からは出仕をせず実家にいる時に詠んだものと考えられ「むすぼほれたる雪の下草」とは気が晴れない鬱屈とした紫式部本人をイメージしているとされている。

 

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