00011 花山院の歌合に霞をよみ侍りける 藤原長能

巻一・春上

【歌】

谷川の氷もいまだきえあへぬに峯の霞はたなびきにけり

たにかはのこほりもいまたきえあへぬにみねのかすみはたなひきにけり

 

 

【通釈】

谷川の氷も未だにすっかり消えきっていないのに峯の霞はたなびいていた

 

 

【作者】

藤原長能

中古三十六歌仙の一人

 

 

【感想・その他】

「谷」川の氷は消え切っていないからまだまだ「冬」の景色なのに山の「峰」には「春」を思わせる霞がたなびいているという「谷」と「峯」、「冬」と「春」の対比を詠んだ歌

「消えあへぬ」は「すっかりは消えきらない」様子を表す言葉。

 

関連記事