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00033 正月七日卯日にあたりて侍りけるに今日は卯杖つきてやなど道宗の朝臣のもとよりいひおこせて侍りければよめる

巻一・春上

【歌】

卯杖つき摘ままほしきはたまさかに君がとふひの若菜なりけり

うつゑつき-つままほしきは-たまさかに-きみかとふひの-わかななりけり

 

 

【通釈】

卯杖をついて摘みたいのはたまたまあなたが聞いてくれた日の若菜でしたよ

 

 

【作者】

伊勢大輔

中古三十六歌仙

百人一首六十一番歌の作者

 

 

【感想・その他】

「卯杖」正月最初の卯の日に悪鬼を払うことを目的として地面をたたくために、大舎人寮、諸衛府から天皇、皇后、東宮などへ献上した杖。貴族の間でも縁起物として贈答しあう風習があった。

「卯杖つきてや」の「や」は係助詞で文末にある場合は疑問や問いかけ・反語などの意味があるがここでは問いかけと知らえて「卯杖をつきますか」の意。本来「や」は係りの助詞で文末が連体形で結ばれるがその結びが省略されたものと考える。

「道宗」後拾遺和歌集の選者藤原通俊の兄藤原通宗のことだと思われる。通宗・通俊の母筑前乳母は高階成順の娘であり伊勢大輔は高階成順の妻になるので、伊勢大輔からすると孫にあたる。

「若菜」正月七日に若菜を羹にして食べる風習があった。(00032の歌参照。)

 

 

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