00035 和泉式部

巻一・春上

【歌】

春日野は雪のみつむと見しか共生ひ出づる物は若菜也けり

かすがのはゆきのみつむとみしかどもおひいづるものはわかななりけり

 

 

【通釈】

春日野には真っ白な雪だけが積もっていると思ったけれど一面に生え出ているのは若菜じゃないですか

 

 

【作者】

和泉式部

中古三十六歌仙の一人

後拾遺和歌集には多数の歌が収録されている

 

 

【感想・その他】

「雪のみつむ」のつむは雪が積もっている様を表しながら後続の若菜を受けて若菜を摘むイメージも浮かんでくる表現を狙っているのかなと思われる。

結果的に白い雪景色と若菜摘みの青々とした景色が鮮やかに対比されてくる。

「見しか共」「見る」の連用形「見」+過去の助動詞「き」の已然形+已然形に接続する逆接の接続助詞「共」で「見たけれど」「(見て)思ったけれどど」

和泉式部集」2番の歌「かすかのは-ゆきふりつむと-みしかとも-おひいつるものは-わかななりけり」として掲載

 

 

関連記事