【歌】
紫もあけも緑もうれしきは春のはじめにきたるなりけり
むらさきもあけもみどりもうれしきははるのはじめにきたるなりけり
【通釈】
紫の衣も朱の衣も緑の衣も嬉しいのは春の初めに大饗応に呼ばれて来て着ているからだ
【作者】
藤原輔尹
【感想・その他】
「臨時客」は00014の歌参照。
「紫」「あけ」「緑」は装束の袍(ほう)の色。当時は身に着ける装束の上着ー袍(ほう)の色も官位により定められており、紫は一位~三位、あけ(朱)は四位・五位、緑は六位の装束の色。ただ、摂関期には四位以上が紫、五位が朱、六位が緑になっている。また色も紫は黒で、朱は緋、緑も縹色(はなだいろ)になっていたといわれる。
「入道前太政大臣」は藤原道長で「大饗」は道長が正月に催した大宴会。