00048 題しらず 和泉式部

巻一・春上

【歌】

秋までの命(あはれイ)もしらず春の野に萩の古枝(ねイ)をやくとき(やイ)くかな

あきまでのいのちもしらずはるののにはぎのふるえをやくときくかな

 

 

【通釈】

秋までの命だとも知らずに春の野で萩の古い枝を焼くと聞くことだよ

 

 

【作者】

和泉式部

中古三十六歌仙の一人

後拾遺和歌集には多数の歌が収録されている

 

 

【感想・その他】

萩は秋になると春に出た新しい枝に花を付けるので古い枝を春に焼く習慣があった

万葉集・巻八・1431番の山部赤人の歌「百済野の萩の古枝に春待つと居りし鶯鳴きにけむかも」

古今集・巻四・秋上・214番の凡河内躬恒の歌「秋萩の古枝に咲ける花見れば本の心は忘れざりけり」

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