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00052 春の夜のやみはあやなしといふ事をよみ侍りける 前大納言公任

巻一・春上

【歌】

春の夜の闇にしなれば匂ひくる梅より他の花なかりけり

はるのよのやみにしなればにほひくるうめよりほかのはななかりけり

 

 

【通釈】

春の夜の闇の中だからこそ匂ってくるのは梅以外の他の花はないのだよ

 

 

【作者】

前大納言公任

「拾遺和歌集」「和漢朗詠集」の選者藤原公任のこと。

百人一首五十五番「滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ」の作者。

 

 

【感想・その他】

「春の夜のやみはあやなし」古今集・巻一・春上・00041「春の夜のやみはあやなし梅花色こそ見えねかやはかくるる」凡河内躬恒の初句・二句。「春の夜の闇は道理に合わない」という意味で歌全体では「夜が梅の花の色は隠しているが香りは隠れているだろうか隠れてはいない」という意味。

この歌を受けて公任は春の闇夜には梅以外に花はないのと同じだとよんでいる。

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