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00055 山里に住侍りける頃梅花を詠める 讀人しらず

巻一・春上

【歌】

我がやどの垣根の梅の移り香に獨ねもせぬ心地こそすれ

わかやどのかきねのうめのうつりがにひとりねもせぬここちこそすれ

 

 

【通釈】

我が家の垣根の梅の移り香のために独り寝をしていない心地がすることよ

 

 

【作者】

讀人しらず

 

 

【感想・その他】

西行の山家集43番に「ひとり寝る草の枕の移り香は垣根の梅の匂ひなりけり」という歌がある。垣根の梅の移り香が枕に匂うというのだ。

この55番の歌も当時は衣に香を焚く風習があったので、垣根の梅の移り香が一緒に寝ている人の衣の香りに思えて独り寝している様に思えなかったというのだ。

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