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00054 村上の御時御前の紅梅を女蔵人どもによませさせたまひけるにかはりてよめる 清原元輔

巻一・春上

【歌】

梅の花香はことごとに匂はねど薄くこくこそ色は咲きけれ

うめのはなかはことごとににほはねどうすくこくこそいろはさきけれ

 

 

【通釈】

梅の花は香はそれぞれ異なって匂うと言うことは無いけれど薄い色や濃い色などいろいろな色が咲いている

 

 

【作者】

清原元輔

三十六歌仙の一人

梨壺の五人の一人で後選和歌集の選者の一人

清少納言の父親

百人一首四十二番「ちぎりきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山浪こさじとは」や、後拾遺和歌集00024の歌などの作者

 

 

【感想・その他】

同志社女子大学の吉海 直人氏(日本語日本文学科 特任教授)による『「紅梅」の基礎知識』というコラムによると、日本に白梅が伝わったのが奈良時代で万葉集でも第三期以降にしか詠じられていないそうです。そして「紅梅」の文献上の初出は、『続日本後紀』承和15年(848年)正月21日条だそうです。

村上天皇の時代は10世紀なので紅梅伝来から100年程度経ち新しい梅の種類として受け入れられていたことが分かります。

白梅なら色に言及することが無く、紅梅を詠んでいることから「色」が詠まれていることも認識できます。

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