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00003 春は東より来るというふ心を詠みはべりける 源師賢朝臣

巻一・春上

【歌】

東路は勿来の関もあるものをいかでか春のこえてきつらむ

あつまちはなこそのせきもあるものをいかてかはるのこえてきつらむ

 

 

【通釈】

東路は(来るなという)勿来の関もあるのにどうやって春は越えてきたのだろう

 

【作者】

源師賢朝臣

宇田源氏

 

【感想・その他】

「な~そ」は「~するな」「~しないで」という禁止を表す語法。「なこそ」は「来ないで」という意味になる。なお「勿来の関」は陸奥の国をイメージさせる歌枕として使われているが、実在性は確認されていない。

この歌も00002の歌と同様に「春は東から来る」と言う考え方を踏まえたもので「東から来る春」が来るなと言う「勿来の関」をどうやって超えてきたんだろうという感じか。

来つらむは「来」(動詞「来」(く)の連用形(き))+「つ」(連用形接続の完了の助動詞の終止形)+「らむ」(終止形接続の推量の助動詞の終止形)

「いかでか」が「どのようにして」と言う疑問を表しているので「つ」は「きっと~」という強意と言うよりも「~した」完了を表していると筆者は考えます。

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