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00029 三条院の御時に上達部殿上人など子日せむとし侍りけるに斎院の女房船岡にもの見むとしけるをとどまりにければそのつとめて斎院に奉り侍りける 堀川右大臣

巻一・春上

【歌】

止まりにし子日の松を今日よりはひかぬ例にひかるべきかな

とまりにしねのひのまつをけふよりはひかぬためしにひかるべきかな

 

 

【通釈】

中止になった子日の松は今日からは松を引かなかった前例として引用されることになるのだなあ

 

 

【作者】

堀川右大臣

藤原道長次男の藤原頼宗

従一位右大臣

 

 

【感想・その他】

斎院は選子内親王(00021の歌参照)

「松をひかぬ例にひかる」の「松をひかぬ」は松を引かない「例にひかる」は前例として引かれる(引用される)ということで「ひかぬ」「ひかる」の「ひく」が同じ音だけれど二つの別の言葉に使われ対比されているところにポイントがある。

 

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